豊郷小学校旧校舎群
2025年10月02日
今回は、滋賀県豊郷町にある豊郷小学校旧校舎群をご紹介します。
1937年(昭和12年)に完成した、ヴォーリズ建築事務所設計の小学校です。
建設費を寄付したのは、この学校の卒業生でもあった古川鉄治郎さん。
当時、商社・丸紅商店の専務を務めていた人物です。
古川鉄治郎さんが寄付したのは校舎だけではありません。
広い校地に校舎、講堂、独立した図書館、体育館、プール、テニスコートなどを備えた学校がつくられました。
当時としては珍しい鉄筋コンクリート造の校舎には、暖房設備や一部水洗式のトイレ、内線電話なども設けられていました。
「白亜の教育殿堂」「東洋一の小学校」と呼ばれた学校です。
中央に玄関を置き、そこから左右へ長く校舎が伸びています。
白い外壁に規則正しく並ぶ大きな窓。
内部にも長い廊下が続き、その片側に教室が並びます。
現在、2階と3階には保存教室があり、そのうちの一室は建設当初の設計をもとに復元されています。
豊郷小学校でよく知られているのが、階段の手すりにいるウサギとカメです。
モチーフになっているのは、イソップ寓話の「ウサギとカメ」。
階段を上っていくと、手すりに取り付けられた小さな像が現れます。
途中には眠っているウサギ。さらに階段を進むと、先へ進んだカメがいます。
学校の階段そのものに、物語が組み込まれています。
豊郷小学校旧校舎群は、大きな校舎一棟だけではありません。
校舎の前には講堂。そして、もう一棟、小さな建物があります。酬徳記念館です。
もともとは図書館として建てられた建物で、校舎や講堂と同じ1937年に完成しました。
「酬徳」という名前は、古川鉄治郎の雅号に由来します。
こちらもヴォーリズ建築事務所の設計です。
豊郷小学校には、完成した建物だけではなく、建設中の記録も残されています。
2014年、旧校舎群の建築工事を撮影した16ミリフィルムが見つかりました。
撮影されていたのは1936年から1937年。
基礎工事から校舎が完成していくまでの様子が記録された映像です。
設計はヴォーリズ建築事務所、施工は竹中工務店。
現在見ている白い校舎がつくられていく途中の姿まで映像として残っています。
豊郷小学校は2004年に新校舎へ移りました。
旧校舎はその後改修され、2009年に再び開館。
現在は町立図書館や子育て支援センターなどが入る複合施設として使われています。
2階・3階には保存教室が残り、講堂と酬徳記念館も当時の意匠を残しながら改修されています。
2013年には、旧校舎、講堂、酬徳記念館が国の登録有形文化財となりました。
※建物に関する情報は、豊郷町、豊郷小学校旧校舎群公式サイト、文化庁、丸紅等の公開資料をもとに確認していますが、資料による表記の違いや、その後の調査等により内容が変更されている場合があります。また、掲載写真は撮影当時のもので、現在の建物・展示・利用状況とは異なる場合があります。見学の際は最新の公式情報をご確認ください。
