大丸ヴィラ
2025年12月11日
今回は、京都・烏丸通沿いに建つ大丸ヴィラをご紹介します。
京都御所の西側、丸太町通から少し北へ進んだところに、急勾配の屋根と煉瓦積みの煙突をもつ洋館があります。
大丸ヴィラは、大丸初代社長・11代下村正太郎の邸宅として、ヴォーリズ建築事務所の設計、清水組の施工により1932年(昭和7年)に竣工しました。
鉄筋コンクリート造の建物ですが、妻面には太い柱型を見せたハーフティンバー。
イギリスのテューダー様式でまとめられ、「中道軒(ちゅうどうけん)」と名付けられました。
そして、このテューダー様式は外観だけで終わらず、室内の家具にも続いています。
大丸ヴィラには、竣工当時の家具や調度品が数多く残されています。
その中には、アメリカの家具メーカー、キッティンジャー社(Kittinger Company)で製作された家具があります。
ヴォーリズは建物だけではなく家具についても計画し、キッティンジャー社に特注しています。
椅子やベンチ、ベッドなどにもテューダー様式の意匠が取り入れられました。
背板に布を折り畳んだような形を彫る「リネンフォールド」や、テューダーローズをあしらった家具も残されています。
現在、建物だけでなく家具も京都市の文化財として登録・指定されています。
また、竣工当時に撮影された写真が残っているため、どの家具がどの部屋に置かれていたのか確認できるものがあります。
居間の張出し窓のそばには肘掛椅子。食堂の壁炉の前にはハイバックチェア。広間にはベンチ。
主人寝室や客室にも、それぞれ異なる椅子やベッドが置かれていました。
家具の中には、現在も当初と同じ部屋に置かれていることが確認されているものがあります。
京都府立京都学・歴彩館には、「下村正太郎居宅絵図」と記された古い図面が残されています。
図面の裏側には、大丸ヴィラと同じ春日町にある下村正太郎の居宅であることを示す記載があります。
作成された年代など詳しいことは分かっていませんが、現在の大丸ヴィラが建つ以前、この場所にあった下村家の住宅を描いたものと考えられています。
1932年に突然この場所へ洋館が現れたのではなく、その前にも下村家の住まいがありました。
現在の大丸ヴィラは、その敷地に建てられた新しい邸宅でした。
※建物や家具に関する情報は、京都市及び京都市文化財保護課の公開資料等をもとに確認していますが、資料による表記の違いや、その後の調査等により内容が変更されている場合があります。また、掲載写真は撮影当時のもので、現在の建物・家具・利用状況とは異なる場合があります。大丸ヴィラは常時一般公開されている施設ではありません。見学については、その時点で実施されている公開情報等をご確認ください。
