東華菜館
2025年12月12日
今回は、京都・四条大橋の西詰に建つ東華菜館をご紹介します。
鴨川沿いに建つ、ひときわ装飾の多い洋館です。
竣工は1926年(大正15年)。もともとは「矢尾政」という西洋料理店の店舗として、ヴォーリズ建築事務所の設計により建てられました。現在は北京料理の東華菜館として使われています。
ヴォーリズの建物といえば、住宅や学校、教会なども数多く残っていますが、ここではそれらとはかなり違う表情を見ることができます。
建物は鉄筋コンクリート造5階建て。外観にはスパニッシュ・バロックの意匠が取り入れられています。
四条通側を見ると、窓のまわりやバルコニー、建物上部まで装飾が続いています。
よく見ると、その中には植物だけでなく、魚やタコ、貝などをモチーフにした装飾もあります。
鴨川側にもバルコニーが重なり、その下には細かな装飾。大きな形だけを見る建物というより、壁面を追っていくと次々と違うものが現れる外観です。
魚やタコなどの装飾は、もともとこの建物が西洋料理店「矢尾政」として建てられたことと関係しています。
建物の装飾には、料理店にちなんだモチーフが取り入れられました。
設計を担当したヴォーリズ建築事務所には、建築だけではなく室内装飾や家具まで含めて計画する仕事も多くあります。
東華菜館でも、外壁だけではなく内部まで装飾が続きます。
店内に入ると、外観とはまた違った装飾があります。
階段の手すりや柱、壁、天井などにも意匠が施されています。
部屋ごとにも内装が異なり、現在も食事をする空間として使われています。
建築当初は西洋料理店。その後、戦後に現在の東華菜館となり、北京料理店として営業を続けています。
料理の種類は変わりましたが、飲食店として建てられた建物が、約100年後も飲食店として使われています。
東華菜館には、もうひとつ残されているものがあります。
アメリカ・OTIS社製のエレベーターです。
製造は1924年。建物の竣工より前につくられたもので、現在も使用されています。現在のエレベーターのように乗客が自分で階数ボタンを押して動かすものではなく、運転手がレバーを操作します。扉も自動ではありません。乗り降りの際には、蛇腹状の扉を開閉します。
東華菜館が建つのは、四条大橋のすぐ西側。鴨川に面しています。
現在の四条大橋は1965年に架け替えられたものです。
つまり、1926年に完成した東華菜館は、現在とは違う四条大橋が架かっていた時代からこの場所に建っています。
※建物に関する情報は、東華菜館公式サイト、京都市等の公開資料をもとに確認していますが、資料による表記や年代の違い、その後の調査等により内容が変更されている場合があります。また、掲載写真は撮影当時のもので、現在の建物・設備・店内の状況等とは異なる場合があります。
