関学西宮上ケ原キャンパスの芝生広場
2026年06月01日
今回は、関西学院大学 西宮上ケ原キャンパスの中央芝生広場です。
建物そのものではありませんが、上ケ原キャンパスの景観を語るうえで外せない場所だと思います。
掲載している写真は2010年に撮影したものです。
関西学院大学の上ケ原キャンパスは、1929年の移転にあわせてヴォーリズ建築事務所がキャンパスマスタープランから主要建築の設計までを手がけました。
正門から時計台へ向かって広がる長円形の中央芝生広場は、その計画の中心となる空間です。
一見すると平坦な芝生広場に見えますが、実際には正門側から時計台へ向かって緩やかな上り勾配になっています。
この傾斜によって、正門から見たときに時計台が自然と視線の先に現れ、その奥にある甲山へと視線が導かれるように計画されています。
こうした構成はアメリカの大学キャンパスにも見られるもので、プリンストン大学やバージニア大学、スタンフォード大学などにも類似した考え方が用いられているそうです。
また、景観工学や都市計画の分野では、上ケ原キャンパスの景観は宗教的な空間構成とも関連付けて分析されています。
完全な平地ではなく緩やかな傾斜を設けることで、人の視線を建物や空へと導く手法は、キリスト教主義学校や宗教建築のランドスケープデザインにも見られる考え方とされています。
上ケ原キャンパスの魅力は、時計台や礼拝堂といった個々の建物だけではありません。
建物の配置や広場、背後の甲山まで含めて一つの景観として計画されている点にあるように思います。
ヴォーリズは、キャンパス全体の調和を保つために、屋根の形状や外壁の仕上げ、軒の高さなどについて一定の基準を設けていたとされています。
そのため、建物ごとに個性がありながらも、キャンパス全体として統一感のある景観が保たれています。
また、将来の建て替えや増築にも対応できるよう、あらかじめ余白を持たせた計画だったともいわれています。
約100年が経過した現在でも、キャンパス全体のバランスが大きく損なわれていない理由の一つなのかもしれません。
こうして見てみると、上ケ原キャンパスは個々の建築を鑑賞する場所であると同時に、一つの大きな景観作品としても楽しめる場所だと感じます。
2017年には「伝統的キャンパスの発展的整備-関西学院・西宮上ケ原キャンパスのトータルデザイン」が評価され、日本建築学会賞(業績賞)も受賞しています。
掲載している写真は2010年に撮影したものです。
現在とは建物の細部や周辺環境が異なっている可能性があります。
なお、本記事は公開されている情報や手元の写真をもとにまとめています。
内容に誤りや解釈を含む可能性がありますので、正確な情報については各種資料や公式発表をご確認ください。
