六華苑 ― 洋館につながる和館
2026年09月05日
六華苑というと、4層の塔屋をもつ洋館を思い浮かべる方が多いかもしれません。
その洋館のすぐ隣に続いているのが和館です。
淡い青色の洋館と、瓦屋根の和館。外から見るとかなり異なる姿をしていますが、二つは内部で行き来できるようにつながっています。
洋館を設計したのはジョサイア・コンドル。
一方、和館は大正元年(1912年)に上棟し、工匠棟梁の伊藤末次郎が手がけました。
洋館と和館を併設する近代の邸宅はほかにもあります。
ただ、六華苑では本格的な規模をもつ和館が洋館に接して造られているところが特徴の一つです。
和館の1階には、大きく分けて二つの座敷があります。
西側にある「一の間」は客を迎えるための座敷。18畳の座敷に15畳の次の間、さらに6畳の鞘の間が続きます。
一方、洋館に近い東側の「二の間」は、家族が日常生活を送った内向きの座敷でした。こちらは12.5畳の座敷と10畳の次の間で構成されています。桑名市も、一の間を「格調の高い客座敷」、二の間側を「内向きの座敷」としています。
同じ和館の中でも、客を迎える場所と家族が暮らす場所が分けられていたわけです。
そして、その違いは部屋の使われ方だけではありません。
一の間では桐板張りの棹縁天井や桐の一枚板の欄間、二の間では桧板の棹縁天井や桧の一枚板の欄間が使われていることが紹介されています。
さらに興味深いのが、座敷の横を通る廊下です。
六華苑の和館には畳廊下と板張りの廊下が並んで設けられています。現在の施設資料にも、16畳と13畳の二つの畳廊下が記載されています。
現地関係者への取材では、畳廊下は主人や家族、客人が使い、使用人はその外側にある板張りの廊下を使ったと説明されています。
同じ場所へ向かうのに、通る廊下が違う。
部屋だけでなく、人の動きまで分けて考えられていたことになります。
六華苑の和館を見るなら、座敷だけでなく廊下にも目を向けたいところです。
和館の延床面積は368.13㎡。
1階には一の間、二の間とそれぞれの次の間、鞘の間や畳廊下があり、さらに一部は2階建てになっています。
和館を手がけたのは工匠棟梁の伊藤末次郎。洋館を設計したジョサイア・コンドルとは異なる人物です。
それぞれ異なるつくりをもつ洋館と和館が、六華苑では内部で行き来できるようにつながっています。
座敷の使い分けや廊下のつくりまで見てから外へ出ると、塔屋をもつ洋館と大きな瓦屋根の和館が並ぶ六華苑の姿にも、また目が向きます。
次回は、その二つの建物の前に広がる庭園を見ていきます。
